2024.04.07 04:02院生の指導に悩む大学教員のみなさんへこのブログでは、社会人に限らず、「研究とはなにをすることか」「修士論文を書ける学生に育てるにはどうすればよいか」のヒントとアイデアも、お伝えしていきます。集中講義(2日間、1週間)、月1回の定期的な研究進捗のチェックと研究スキルの向上など、さまざまなカリキュラムをご用意しています。関心ある方からのお問い合わせをお待ちしています。
2024.04.07 03:31プロフィール齋藤早苗山口県山口市出身、東京在住。県立高校から地方国立大学に進学。卒業後、東京にて生命保険会社、看護協会などを経て、一橋大学大学院、東京大学大学院に入学、修了。予備校での小論文講義を多数担当し、多くの学生さんの小論文の指導を行ってきました。「書く」という作業は、自分のばくぜんとした考えに言葉を当てはめることです。そのためには、まず自分が何を考えているのか、感じているのかに意識を向けること。そうして、その考え、感じ方にもっとも近い言葉をあてはめていきます。さらに、いったん書いたものを、他人が読んでも理解してくれるかに注意を払いながら、厳しくチェックしていくのです。メールでもツイッターでもフェイスブックでも、日頃は、こんなに丁寧に書くことはありませんよね...
2023.02.04 01:51「問いを立てる」訓練教員のみなさんの中には、「問い」の見つけ方を、先行文献にあたり、調査を行う中で、苦しみながら見つけるものだ、と、「習うより慣れよ」パターンをイメージしていることが多いように思います。でも、問いの立て方も、ちょっとした訓練で、ちょこっとだけ近道になることもあるんです。それが「問いの立て方訓練」です。身近なことでよいので、なぜどのようになにが/なにをいつを使って、疑問を言葉にしてもらいます。このとき、社会人が立てがちなのが、「未来」に焦点を当てた問いです。「どうすれば~~~は良くなるか」「どのような~~~が求められるか」これ、研究ではNGですよね。研究での視点は、「未来」ではなく「現在/過去」にあるからです。
2023.01.30 01:11社会人院生への教えかた大学教員の方からすると、大学院に進学してきた社会人に対して、「教えにくいなぁ~~」と思う方もいるでしょう。ときには、自分より年上の方が、学生としてゼミに参加することもあります。とくに、仕事経験が長い人、仕事での成功体験がある人は、「仕事OS」を、「学問OS」に入れかられない場合が、多いように思います。だからこそ、「仕事」と「学問」の溝を埋めるためのカリキュラムはぜったいに必要!そこで、ここでは「こんなカリキュラムあったらいいな」のアイデアを書き留めていきたいと思います。教員のみなさんが、実践するのは大変だと思いますが、「知っておく」だけでも、指導の工夫のヒントになることもあるかもしれません。仕事と学問のずれを知って、よりよく社会人院生を指導する一助にな...
2021.04.02 23:40問いと仮説と結論とこれまで何度か「問い」について、お伝えしてきました。調査を始める前に、いったん「問い」を立てますが、この「問い」は不変のものではありません。実は、「問い」もまた、調査や執筆のプロセスを経て、育っていくものなのです。アカデミックの世界では、問いー仮説ー結論のつながりが重要だ、ということはもう意識せず空気を吸っているようなもので、多くの教員にとってはあたりまえすぎて、きちんと言語化できていないことが多いように思います。私自身、 問いー仮説ー結論 のつながりの重要性が腑に落ちたのは、2度目の修論を書いているときでした。アカデミック世界の常識がわからない社会人院生は、「問い」が重要なことはわかるけれども、なぜ重要なのか、どう使えばいいのかがわからず、教えてもら...
2021.02.18 03:18発表の作法――研究報告の場合一方、②自分の研究の全体像、進行状況を報告するの研究報告型の場合は、自分の研究内容をしっかりと説明できるといいですね。全体像を示した上で、今日の発表ではどの部分に焦点をあてているのか、どんな点でアドバイスがほしいのか、どんなことに行き詰っているのか・・・なども発表すると、アドバイスしやすくなります。発表、というと、どうしても「自分が発表する」ことだけに集中しがちですが、研究報告型でもっとも大事なのは、きちんと「批判を受け取る」ことです。社会人院生にありがちなのが「批判されても、ぜんぜん変わらない」という落とし穴です。Photo by Brett Jordan on Unsplash
2021.02.16 00:15発表の作法――文献講読の場合さて、大学院では、授業でも、ゼミでも、「発表」の順番がやってきます。授業登録の際に、「じゃあ、何回目を担当するか決めましょう」と言われたとき、「ひえ~~~!発表なんてできないよ~~~!!」と、ものすごくビビったのを思い出します。発表には2種類あります。ひとつは、ゼミ生で知識を共有するためのもので、 ①文献を読んで、その内容を紹介し、疑問点を出すこれは、みんなでこの文献について議論するための発表です。もうひとつは、自分自身のためのもので、 ②自分の研究の全体像、進行状況を報告するこれは、自分自身の研究がどこに向かっているのか、このまま進めて妥当なのか、などを確認し、批判してもらうことで、ブラッシュアップするための発表です。発表の時に気を付けたいことはそれ...
2021.02.11 05:08大学院ゼミでの発言の作法大学院の授業やゼミでは、議論することが求められます。私は、入学当初、こうしたゼミでは不足している点を指摘したり、批判することが重要だと、勘違いしていました。しかし、ある時、20歳近く年下の先輩が、「ゼミでは、 できるだけ、その論文がどうしたらよくなるか、 を考えながら発言してます。 ただ批判するだけでなく、 ちゃんと案も示せれば、 よりよい論文になると思います」と話すのを聞いて、「ただ批判すればいいと思ってたなんて、 わたしはなんて浅はかだったんだろう!!」と、ものすごく衝撃を受けました。「ただの批判」ではなく「論文をよくするアドバイスとしての批判」が重要なんですね!と、こう書くとかんたんなんですけど、わたしは本当に批判が好きで(;´・ω・)つい「ただ...
2021.02.02 05:43ピースをつくる「修論はジグソーパズル」でもお伝えしたように、4万字~10万字など、修士論文では、ひじょうに長い文章を書くことになります。しかし、どんなに長い文章も、けっきょくは「小さなピースの集まり」でつくられているのです。そこで、いきなり修論全体=すごく複雑で大変な作業をイメージするのではなく、まずは、「1ピースだけ書いてみよう」と考えて取り組んでみましょう。Photo by insung yoon on Unsplash
2021.01.16 02:13修士論文はなぜ書くの?多くの研究科では、最終的には、「修士論文を書く」ことを目指します。多くの社会人院生は、なんとなく修論を「書かなければいけないもの」と思っているだけで、「なぜ書くのか?」には無頓着です。では、なぜ大学院では修論を書くのでしょうか?
2021.01.06 02:23大学院は、なにをするところ?ブログ執筆からはや10か月。が、ここで、「大学院は、なにをするところか?」というもっとも基本的な確認をスルーしてきたことに、今更ながら気が付いてしまいました。自分にとってあたりまえの大前提ほど、言葉にするのを怠る、という典型ですね。さて、社会人の多くの方が、大学院受験のときに挙げる一番の理由は「もっと勉強したいと思ったので」です。この言葉に違和感を抱かなかった方、この後の文章は必読です!!では、どこが違和感なのでしょうか?まず、大学院は、なにをするところか?を確認するために、大学と比較してみましょう。(1)大学 ・講義を受け、試験で知識を確認する。 ・それらの学びをもとに、初歩的な調査、分析などを行い、卒業論文にまとめる。 つまり、重点は...