2021.10.12 02:16書くのが怖い その2こうしてものすご~~~~く書くのが怖くなった結果、先行研究の知見を、ひたすら引用するだけの内容になっていく・・・という時期がやってきます。でも、大丈夫!それは、あなたが成長した証です。先行研究の偉大さがわかったということ、書いた文章には責任が生じるということ、理論的根拠をしっかりと提示しなければいけないと身に沁みて理解し始めているということ、なんですよね。そんな状態になったとき、まずは、先行研究をつなげた記述に徹してみてはどうでしょうか。それらを書いた後、自分の研究テーマと比べてみて、「ん?ここは、~~の視点が足りないんじゃないかな?」「あれ?ここは、自分の考えと違うな」というところに、自分の意見を挿入していきましょう。調査、分析を経てから、もう一度見...
2021.10.12 02:08書くのが怖い その1レジュメでも、研究計画でも、実は、慣れれば慣れるほど文章を書くのが怖くなってきます。入学当初は、先行研究がなにかもわからないまま、とにかく自分の考えをことばにしていきます。このときは、書くための知識のストックがない、どう表現すればいいのかわからない、など、自分自身のストックがないために「書けない」状態に陥ります。しかし、少しずつ先行研究を扱い始めると、今度は、「先行研究に書いてあることしか、書けない」という状態に陥ります。なぜかというと、自分が独自で考えたことには、論理的根拠がないように思い始めてしまうからです。先行研究として論文や本になっていたら、その著者の意見として一定の理屈があると思えます。だけど、自分の意見の論理的根拠は、誰も保証してくれません...
2021.02.23 00:21データと向き合う社会科学の研究では、現実の事象などを扱います。もちろん、理論研究をする方もいます。その場合は、文献などを分析することになります。現実の事象を調査し、そこから発見をみつける研究の場合、調査フィールドでデータを集めなければなりません。このとき、教員のタイプによって指導が異なります。ひとつは、 A「まずはフィールドに入って、 データを集めてみよう」というタイプ。もうひとつは、 B「いやいや、先にしっかり先行研究を検討して それから、フィールドに入るべき」というタイプです。でも、修論を書く本人に合うやり方が、指導教員のタイプと一致しているとは限りません。私が見てきたかぎりでは、社会人院生の...
2021.02.02 06:01書く順番と章構成さて、前回「ピースをつくる」では、修論を1ピースずつ書き始めるといいよ、とお伝えしました。そして、ハードルが低く手をつけやすい順番で書くことをおすすめしました。それが、以下のような順番です。 A 社会的な背景や、歴史的な経緯 →B 調査手法、調査の概要 →C 分析 →D 考察 →E 先行研究の検討 →F はじめに →G おわりに厳密にいえば、このA~Eは、行ったり来たりしながら書きますけど、手をつけやすい順番としては、上記になると思います。ところで、上記のプロセスを見てみなさんに気づいて欲しかったことはなんでしょうか?それは、手をつける順番と、章構成の順番は違うということなのです。上記のプロセスで書いたパーツを社会科学の手順に沿って修士...
2021.02.02 05:43ピースをつくる「修論はジグソーパズル」でもお伝えしたように、4万字~10万字など、修士論文では、ひじょうに長い文章を書くことになります。しかし、どんなに長い文章も、けっきょくは「小さなピースの集まり」でつくられているのです。そこで、いきなり修論全体=すごく複雑で大変な作業をイメージするのではなく、まずは、「1ピースだけ書いてみよう」と考えて取り組んでみましょう。Photo by insung yoon on Unsplash
2020.10.08 00:14研究の心がまえ――ニュートラルでいこう研究をすることは、なにがしか自分のなかに「言いたいこと」があり、その「言いたいこと」がいかに根拠のある主張であることを立証するプロセスです。とはいえ、調査をすすめたり、分析をしていくうちに、「あれ?これは、私が最初に考えていた『言いたいこと』とは 違っているのでは・・・?」とか、「『言いたいこと』を根拠づけるようなデータが出てこない・・・!?」ということがあります。社会人院生は、しっかりした問題意識をもって入学してくるので、この『言いたいこと』への思い入れが強く、『言いたいこと』に合うデータを探そうとしてしまいます。でも、そうした心がまえでいると、論理的な立証から離れていってしまいます。自分に都合のいいデータだけを集めたものは、研究ではありません。研究...
2020.09.02 07:17修論はジグソーパズル社会人院生にとって、4万字~10万字という長い文章を書くことは、未経験の体験です。会社生活で書く文章と言えば、企画書やプレゼン、報告書ですが、企画書、プレゼンは、短い文の羅列だし、なが~い報告書を、ヒラ社員が書くことはあまりないと思います。そこで、「修士論文は4万字以上です」と言われると、そんなに長い文章を、この自分が書けるんだろうか・・・!!と、心の中では、緊張とおそれでブルブルしてしまいます。長い文章を書く、と思うと、途方もなく果てしない旅路のように思ってしまいますが、修論は、長い文章ではなく、パーツとパーツをつなぎあわせたものと発想を転換してみましょう。
2020.07.09 02:22先行研究の読み方 その3社会学など、社会調査を重視する分野で、先行文献を読むときにおさえておくとよいのが、それぞれの文献、研究で用いられている調査の概要です。例えば、「AがBであることがわかった」という場合でも、10人に調査したのか、1万人に調査したのか、あるいは、どの時期に調査したのか、または、大都市の東京都と、地方都市の小さな市町村では 人々がおかれている状況はまったく違いますよね。 そして、調査の方法が質問紙なのか、インタビューなのかによっても、なにが聞けていて、なにが抜け落ちているのか、は異なってきます。こうしたさまざまな調査の条件によって、データの内容の解釈はかわってきます。そこで、先行文献を読むときは、その知見を導き出した方法やデータについてメモしてお...
2020.06.09 00:09先行研究の読み方 その2大学院生活では、それはもうたくさんの本を読みます。ゼミでの発表、授業のレポート、自分の研究に関連する文献・・・それぞれの発表に合わせて、メモすることは異なりますが、自分の研究に必要だと思われる文献(=先行研究)は、以下の点をメモしておくとよいと思います。Photo by STIL on Unsplash
2020.05.22 02:47ガイドとなる分析本をもとうインタビュー調査などの質的な調査を分析しはじめると、どう分析したらいいのか、迷い始めるときがきます。こんなふうに分析して「主観的で恣意的だ!」といわれないだろうか、とか自分の一人合点にすぎないんじゃないのか、とかものすごく不安になってきます。わたしは、水野節夫先生の事例媒介法をガイドに、この分析プロセスをなんとかのりきりました。個人的に授業や指導を受けたことで、その手法が自分にしっくりくるな~という実感もあったからです。こんなふうに、頼れる分析法に出会えると、分析のプロセスでも迷うことがなくなり、不安とも闘うことができます。そこでここでは、水野先生の分析手法の中でも、自分にとって、とても頼りになった技法をエッセンスとしてお伝えしますね。①データをなぞる...
2020.05.20 06:05データ分析のお助け本以前、社会調査の授業はちゃんと履修しましょう!とお話ししました。授業で学ぶのはもちろんですが、実際に調査を始めたり、データを分析したりする段階になると、やはり、手元に本をおいておいて、それを参考にしながらすすめることになると思います。そこで、私がとても分かりやすくて便利だなと思った本をお勧めします。ここでおすすめするのは、初心者向けのものですが、けっこう役に立ちますよ。
2020.05.16 01:34先行研究の読み方 その1先行研究の大切さがわかったところで、では、先行研究を読むときに、どんな点に注意しながら読んで、どんなことを記録しておくと、修論を書く時の助けになるでしょうか。はじめて専門論文や専門書を読むと、知らないことだらけで、「どれもこれも大事に思えて、まとめられないーー(´゚д゚`)!!」と思うと思います。はじめてのゼミ発表のとき、10ページの論文なのに、レジュメは8ページになっちゃったりとか((;´・ω・))「それ、全然まとめてないぢゃん・・・」と、みんなが心の中でつっこんでいたと思います。なぜ、こんなことが起こるかというと、その論文の背景となる知識を知らないからなのです。私たちは、必ずしも「書かれている文」だけを読んでいるわけではありません。例えば、次の文章...