先行研究の読み方 その1


先行研究の大切さがわかったところで、

では、先行研究を読むときに、

どんな点に注意しながら読んで、

どんなことを記録しておくと、

修論を書く時の助けになるでしょうか。


はじめて専門論文や専門書を読むと、

知らないことだらけで、

「どれもこれも大事に思えて、まとめられないーー(´゚д゚`)!!」

と思うと思います。


はじめてのゼミ発表のとき、

10ページの論文なのに、

レジュメは8ページになっちゃったりとか((;´・ω・))

「それ、全然まとめてないぢゃん・・・」と、

みんなが心の中でつっこんでいたと思います。


なぜ、こんなことが起こるかというと、

その論文の背景となる知識を知らないからなのです。


私たちは、必ずしも「書かれている文」だけを読んでいるわけではありません。

例えば、次の文章を読んで、あなたは理解できますか?


  「私は、今日朝8時に、電車に乗った。

   大学受験予備校の授業に出るためだ。

   今日の授業は個別指導とオンライン授業がある。」


日常の生活の一部だから、すっと理解できますよね。


では、これを平安時代の人に伝えて、理解してもらえるでしょうか?


・・・無理ですよね。


この文章が前提にしているのは、

現在の社会のありかたや制度です。


電車は乗り物で、それに乗っていろんなところに行けることや、

大学という教育制度があって、

高等教育を受けるために試験を受ける=受験がある、

ということを知っているから、

この文章を理解できるのです。


つまり、「書かれていない」知識で補っているから、

理解できているんですね。


専門論文、専門書が理解できなかったり、うまくまとめられないとしたら、

それは、それらの論文が前提とする専門知識が足りないから、です。


最初のうちは、大変だけどとにかく本を読んで、専門知識に触れて、

ストックを増やしていくようにしましょう。


同じテーマの本を何冊か読むと、


 A「どの本にも書いてあること」=多くの研究者に共有されている専門知識

 

 B「この本にしか書いてないこと」=その著者独自の意見


が見えてくると思います。

それが区別できるようになると、


レジュメにまとめるのはBがメインで、Aは省略してもいい


ということがわかります。

ここまでくれば、

論文でも本でも、なにが書かれているかを見つけ出すのが、

楽になりますよ!


こんなふうに、ほんとうにまじめに修論を書こうと思うなら、

多くの専門論文、専門書を読むことが必要です。


身体の中にそれらの知識が蓄積しつづけていくと、

あるとき、コップから水が溢れるように書くことが溢れてきます。


読書の量は、修論を書くための燃料のようなもの。

燃料が少ない車がすぐ停まってしまうように、

読書量が少ないと、修論でもなかなか筆がすすみません。

修論執筆という長距離ドライブで目的地に到達するために、

しっかり燃料を準備しておきましょう。


とはいえ、時間は無限ではありません。

そこで次回は、先行研究を読むときに、

押さえておくべきポイントをお伝えしていきます。



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