社会科学の研究では、
現実の事象などを扱います。
もちろん、理論研究をする方もいます。
その場合は、文献などを分析することになります。
現実の事象を調査し、そこから発見をみつける研究の場合、
調査フィールドでデータを集めなければなりません。
このとき、教員のタイプによって指導が異なります。
ひとつは、
A「まずはフィールドに入って、
データを集めてみよう」というタイプ。
もうひとつは、
B「いやいや、先にしっかり先行研究を検討して
それから、フィールドに入るべき」
というタイプです。
でも、修論を書く本人に合うやり方が、
指導教員のタイプと一致しているとは限りません。
私が見てきたかぎりでは、
社会人院生の方は、Aのやり方が適している人が多いようでした。
自分で集めたデータを、
先行研究で述べられていることと突き合わせると、
「あ、このデータは、もう他の人が指摘してる」
ということがたくさん出てきます。
そうすると、このデータだけでは新しい発見にはならないことがわかり、
また、フィールドでデータを集めるときに、
別の角度から掘り下げようとします。
このように、
先行研究とフィールドを行ったり来たりすると、
「ありきたりなデータ集め」から脱却できます。
また、自分にとって切実なプロセスなので、
ただ先行研究を読んでいるときとは必死さが違い、
見出せるものも鋭くなってきます。
Photo by Raphaël Biscaldi on Unsplash
こうした行ったり来たりは、
調査対象との距離を保つのにも役立ちます。
社会人院生は、思い入れが強いため、
「あらかじめ期待する結果」にあうデータを探そうとします。
でも、それでは社会科学として適切な研究にはなりません。
「研究の心がまえーーニュートラルでいこう」でもお伝えしたように、
対象との距離を保つことは重要です。
ぜひ、フィールドと先行研究のあいだを
行ったり来たりすることで、
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