では、どのように「問い」は育つのでしょうか?
まず研究を始める前に
素朴な疑問として感じている「問い」がありますよね、
例えば、
「どうしたら女性は
育児しながら働き続けられるの?」
と漠然と思っていたりします。
ただし、この問いは未来に向いているので、
学問的には、このままを「問い」として提示することは難しいと思います。
そうした疑問をもちながら、
先行研究を検討しているなかで、
「正社員だと制度は整っているのに、退職する女性が多いらしい」
ということがわかってくると、
「なぜ女性は制度を利用しないで辞めるのか?」
と「問い」は変化してきます。
こうした「問い」に対する仮の答えが「仮説」です。
「女性が利用しにくい制度だからだ」
と、ひとまず答えを仮置きしておいて、
この仮説を証明できるかどうか、を調査するわけですね。
しかし、気を付けなければならないのは、
このような一方向的な流れで「問い」や「仮説」が決まるわけではない、
ということです。
調査する中で、
「どうも制度じゃなくて、ほかの社員との関係に問題があるらしい」
という「結論」にたどり着いたとしましょう。
この時点で、
問い-仮説-結論
に、論理的整合性があるかを確認します。
もし、うまくかみ合っていない場合、2つの書き方があります。
A:「問い」「仮説」はそのままにし、「仮説」≠「結論」だったことを書く
B:「結論」に合わせて、「問い」「仮説」を精緻化する
Bの場合、
結論を受けて「問い」を
「なぜ女性は出産後に仕事を辞めるのか?」
と修正したうえで「仮説」を
「制度が整備されていないからではなく、
社内の人間関係によって
辞めざるをえなくなるからだ」
と修正することができます。
このように、
「問いー仮説」は流動的なもので、
「問いー仮説」が論理的に「結論」にたどりつくようにもっていく
のが論文です。
そこで、論文を書き始めたら必ず
「問い」「仮説」にマーカーを引いて、
つねに「結論」との整合性を確認しながら、
修正していきましょう。
長い文章を書いていると、
当初書いていた内容からずれることがあります。
このように、
「問いー仮説ー結論」の論理的整合性を意識していると、
そのずれを防ぐことができるだけでなく、
「問いー仮説」を精緻化することができますよ。
執筆中は、ときおり「問い」に戻りながら、
「これで大丈夫?」と確認してみてくださいね!
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