インタビュー調査などの質的な調査を分析しはじめると、
どう分析したらいいのか、迷い始めるときがきます。
こんなふうに分析して「主観的で恣意的だ!」といわれないだろうか、とか
自分の一人合点にすぎないんじゃないのか、とか
ものすごく不安になってきます。
わたしは、水野節夫先生の事例媒介法をガイドに、
この分析プロセスをなんとかのりきりました。
個人的に授業や指導を受けたことで、
その手法が自分にしっくりくるな~という実感もあったからです。
こんなふうに、頼れる分析法に出会えると、
分析のプロセスでも迷うことがなくなり、不安とも闘うことができます。
そこでここでは、水野先生の分析手法の中でも、
自分にとって、とても頼りになった技法をエッセンスとしてお伝えしますね。
①データをなぞる
インタビューのデータを、話の塊ごとに分けた後に、
それを1行程度にまとめてみます。
この時のポイントは、語りをそのまま用いてまとめること。
これを、「データをなぞる」といいます。
つまり、分析者は、データから一足飛びに解釈にもっていくのではなく、
できるだけデータに寄り添う段階をもつ、ということなのです。
この手順をもつことで、
データに対する見方が、フラットになってきます。
というのも、
私たちは、どんなに中立的にデータを見ようと思っていても、
自分の価値判断に揺さぶられながら、データを見ているからです。
自分の価値判断から離れて、
語り手がどう感じ、どう考え、どう出来事を受け止め、どう行動したか、などの
生の跡をたどり直すことーーそれが「なぞる」という作業が持つ重要な意義なのです。
②アイデアの風船飛ばし
一方で、
なぞりながらも頭の中では、
いろんな情報が思い出されたり、アイデアが閃いたりしてますよね。
そうしたアイデアは、もらさずメモしておきましょう。
それも「思考の軌跡をすべて書き留める!!」ぐらいの勢いで。
まちがってたな、と思っても、
消去するのではなく、消去線で文字は読めるようにしておく。
フロイトもいうように、無意識の間違いには潜在的な意識が潜んでいるものです。
こうして書き留めたアイデアは、
あとあと、分析をすすめるときの切り口やキーワードの抽出のときに生きてきます。
質的データの分析をするとき、
この2つの手順は、解釈をより深くより豊かにしてくれると思います。
もちろん、自分なりに参考にする分析本に沿うのが基本です。
修士1年生の間に、ガイドとなる分析本を探しておきましょう^^/
Photo by Ankush Minda on Unsplash
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