修士課程では、入学当初からゼミに所属します。
ゼミですることは、おもに次の2つです。
・学生が、自分の研究、論文ついて発表する
・教員が読みたい本を、輪読する
ゼミでは、仕事場での作法とは違う、
アカデミックの場の作法が求められます。
社会人院生がやりがちな失敗のひとつは、
学問の知識を用いて議論する場なのに、
「自分の経験」に基づいてしゃべってしまう、
ということです。
ゼミで話をするときに、よって立つべき根拠は、
・学問の中で明らかになっていること(先行研究)
・自分がフィールドで集めてきたデータをまとめて分析したもの
・そうしたデータに基づいて導いた分析結果や自分なりの考え方
などです。
「自分の経験」が研究の最初の動機であることもあるでしょう。
そのこと自体が、悪いのではありません。
「自分の経験」だけで議論を進めようとすることが、
社会科学の手続きとして不適切なのです。
社会人としての生活が長い人ほど、
ついつい発表が「自分の経験=自分語り」にスライドしてしまいます。
「私の職場では、技術者はほとんどが~~~だと言っていた。
だから、きっと~~~なんだと思う」という発言には、
社会科学の研究としてどのていど妥当性があるのかが
まったく示されていません。
(その妥当性を確かめるために「調査・分析」科目の履修は必須なのです)
社会人院生が「自分の経験」を封印してしまうと、
「ゼミでなにも話せないよー!!」
という状態になると思います。
じっさい、わたしも初めての院生生活では、
1年くらいゼミでしゃべれませんでした(>_<)
なぜかというと、学問的知識が圧倒的に不足していたからです。
その間、先輩方の発言を必死に聞き、議論の流れを覚え、
知識やデータに基づいて話す作法を学びました。
ゼミで話せるようになるためには、
それぞれのゼミで最低限必要と思われている文献などを読んで、
専門知識や表現力をストックしていきましょう。
どんな本を読めばいいかは、
博士課程の先輩方に教えてもらうといいと思います。
学卒の学生さんから、大学時代に学んだことを教えてもらうのもいいですね。
大学院は学ぶ場ですから、
「年上だけど後輩だもん!」と思いながら、
どんどん学び、どんどん知識を吸収して、
アカデミックな議論のノウハウを増やしていきましょう!
illustrated by mohamed Hassan on Pixabay
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