2023.04.22 01:14教員も学生になるこれまで、大学院教育に使えるさまざまなアクティビティをご紹介してきました。が、これらのアクティビティを成功させるためには、コツがあります。そのひとつが、「教員も、学生のひとりとして参加する」ということです。教員は、「指導するべき人」という思い込みのため、アクティビティをするときも、つい、観察者や評価者のような立ち位置で、アクティビティを見るだけ、の状態になっています。でも、そうやって、参加しない人がいると、「なんか見られてて、居心地悪いな」「どんなこと考えてるんだろう、この発言はマイナスかな?」と、参加する学生も、100%の没入感でアクティビティに参加できなくなるのです。この100%の没入感を得られ、なんでも言えそうな雰囲気にするためには、「教員も、学...
2023.03.30 03:37学問的文章を知る、書く 4ーー感じたことを書くあなたが大好きなものはなんですか?食べ物、映画、小説、スポーツ、街、行為・・・または、休みの日にしていることは?音楽を聴く?野菜を育てる?山登りする?ひとつだけ、好きなものを決めたら、「どうしてそれが好きなのか」「どんなことを感じるのか」を、ことこまかく説明してください!
2023.03.29 08:31学問的文章を知る、書く 3――感じたことを書くところで、論文というと、理屈をこねるようなイメージで、自分の感覚はまったく必要とせず、どこかにある理屈や、どこかにある論理的表現を借りてくる、ような気がしていませんか。でも、それは違います。論文は、他の誰も考えたことがない、自分が感じた疑問、自分が考えた道筋、を、文章にすることです。だとすると、必要なのは、どこかから文や表現を借りてくることではなくて、「自分がなにを感じ、考えているか」に敏感になること、そして、その「感じ、考えていること」に的確な表現を与えること、が必要になってきます。さて、そのための訓練は?次回に続く!
2023.03.18 07:16視野を広げる 2社会人院生は、問題意識をはっきりと持ちながらも、対象を漠然と考えていることがあります。例えば、「女性がおかれているつらい状況をなんとかしたい!」と思ったとしても、「女性」って、いろんな人がいますよね?年齢はいくつぐらいなのか、既婚なのか独身なのか、学歴はどうか、どこに住んでいるのか、など、「女性」といっても、その属性はさまざまです。また、どんな「つらさ」に焦点をあてるのかによっても研究の進め方はかわってきます。育児と仕事の両立なのか、DVなのか、学校での隠れたカリキュラムや、職場での服装規範など、さまざまな切り口があります。具体的に考えるヒントのひとつは、「調査を設計してみる」ことです。だれに調査をするのか、どんなことを尋ねるのか、などなど、これらの属...
2023.03.10 02:06視野を広げる 1さて、指導している社会人院生が、研究テーマはなんとなく決めているけれども、なにをしていいのやらさっぱりわからない様子、だったり、問題意識が広すぎて、漠然としすぎている・・・というとき、教員は、「研究対象を具体化する」手助けをしましょう。実は、この「具体化する」という言葉、意味は分かっても、具体的にどうすればいいのか??は、意外に知らないことが多いんです。あなたなら、どうすれば「研究を具体化できる」と思いますか?一つの方法は、「誰が」を中心に、5W1Hを意識してもらうようにすること、です。その具体的な手順については次回!
2023.02.26 06:03分析の視点を学ぶ 4社会人院生がドラマ手法のアクティヴィティを経験する意義は、前回「分析の視点を学ぶ3」でお伝えしたように、「社会人」という視点から離れる、という点だけではありません。ドラマを演じる中で、ドラマの中の登場人物の視点を経験することがあります。そうすることで、「自分」視点から離れて、対象を感じることができるのです。
2023.02.20 23:57分析の視点を学ぶ 3なぜ、ドラマ手法が社会人院生に有効なのか?の前に、もうひとつアクティビティをご紹介。②フリーズフレーム準備:ひとつの短い物語、小説、絵本など 参加者全員で読み合わせします。次に、グループに分かれます。経験的には、3~5人くらいだと、短い時間でまとめやすいと思います。開始:まず、各グループで、どの場面を取り上げるか決めます。 ほかのグループと重複してもOK! 取り上げる場面が決まったら、 その場面を、 全員で、全身をつかって表現しましょう。フリーズフレームとは、静止画、のこと。つまり、みんなで、1枚の静止画をつくりあげるのです。どう配置したら見ている人に伝わるか?どんな表現なら、内容を伝えられるか?チームワークと個性が求められるアクテ...
2023.02.17 01:16分析の視点を学ぶ分析の視点は、研究者自身の視野の広さ、感受性、センスなどに委ねられがちです。もちろん、専門知識を学ぶことで視野は広がります。しかし、それを、表面的なことばとして捉えるのではなく、「対象者のなかに飛び込んで、理解できるかどうか」が、分析の深さにかかわってきます。この分析を深めるための知恵の教授として有効なのが、ドラマ教育です。
2023.02.10 02:39学問的文章を知る、書く 2ーー観察と説明学問的文章では、「論理の流れ、根拠が伝わりやすい表現」が求められます。具体的には、・シンプルな表現・短い文・丁寧な説明です。一方、できれば避けたいのが、比喩、まわりくどい表現、文学的表現、慣用句・・・です。では、学問的文章の書き方訓練をしていきましょう!①いま見ているものを説明する今、あなたはどこにいますか?それはどんな場所ですか?誰がいますか?どんなものが、どのように配置されていますか?その場所で、あなたはなにをしていますか?どんなことを考えていますか?なにを感じていますか?他の人はなにをしていますか?どうでしょうか。ただ「自分の部屋にいる」と書いた人は、残念!!「自分の」「部屋」というあいまいな内容では、読み手に伝わりません。そう、文章を書こうと思...
2023.02.09 00:10学問的文章を知る、書くふだんよく読む文章はどんなものですか?小説なら、文学作品、ライトノベル、エンタメ小説、ビジネス指南書、啓発書、雑誌、新聞、SNS、ブログもありますし、会社員なら、会議資料、報告書、プレゼン資料などで文章に触れていると思います。それぞれのジャンルにあう書き方があるように、学問世界で求められる文章の書き方があります。教員からすると、学術書を読めば身につくはず、と思うかもしれません。でも、社会人院生の場合、ビジネスの「書き方のクセ」が身に付きすぎてなかなか学問的書き方に対応できなかったりします。入学初期の頃に、学問的な文章の書き方を実践的に教える場があれば、研究計画書や修士論文を書く段階で、「文章がまわりくどくて、何をいってるかわからない・・・」と、頭が痛く...
2023.02.07 00:42分析の最初の一歩 2幼児用単語カードをつかって、「分析の軸」を体感しましょう。学生をグループに分けて、これらのカードをもとに、10分以内にいくつの「軸」を見つけられるか、競争です!カードには、様々なカテゴリーがありますから、すべてを含むような分け方をしなくてもOKです。かんたんなところでは、「食べるもの/食べないもの」「着るもの/着ないもの」などがあります。かつて学生にやってもらったとき、なんと100以上の軸が出ました!それでも、学生が気づかない軸はあるもの。教員は、学生の様子を見ながら、「あれはまだ出てないぞ」という軸を準備しておき、最後に、「まだあるよーー!!」と披露すると、学生の阿鼻叫喚が。「あああーーー!!気が付かなかった!!」「悔しい――!!」となったところで終...