伝える技術 文章編 その2


読み手に伝わりやすい文章を書く秘訣は、

とにかくシンプルに書くこと、です。


シンプルに書くコツは、

  ①1文には1つの意味だけ


  ②主語を意識する

  ③平易な表現をつかう


これだけ書くと、「なーんだ、けっこう簡単じゃん?」

と思いますよね??

しかし、これがけっこう難しい!!


例えば、この文を読んでみてください。

「結果として国が自ら種をまき、生みだした問題に対して、これ以上悪化させ取り返しがつかなくならないよう、試行錯誤をしてでも収束させていかなければならない。」


どうですか?意味がわかりましたか?

「なんかすごい大変そうなことが、わかったような気がする」
と思ったあなた、
文に関する感度はまだまだ低いですよ。


じゃあ、具体的にどう感度が低いのか?

いくつかの部分にわけて、添削してみましょう。



  A「結果として、国が自ら種をまき、生みだした格差の問題に対して」

  =「国が自ら」や「種をまき」などは、主観的、作文的な表現です。


B「 これ以上悪化させ取り返しがつかなくならないよう」

  =「つかなく」「ならない」と二重否定になっているので、いったん思考がとまりますよね。

 

C「試行錯誤をしてでも収束させていかなければならない」 

  =誰が、試行錯誤するのかがあいまいですね。



では、以上の文を、先ほどの3つのルールに沿って修正してみましょう。

  ①1文には1つの意味だけ

  ②主語を意識する

  ③平易な表現をつかう


「国の政策によって、格差が拡大しつつある。

 この状況に歯止めをかけ、改善する必要がある。

 そのためには、国によるセーフティネットの充実が求められる。」


先ほどの文と比べてどうですか?

まず、1文に1つの意味だけにしたので、1文で済んでいたのが3つの文になりました。

また、Cでは、主語が明確になりましたね。

さらに、それぞれの文につかわれる表現は平易ですが、内容はちょこっと高度になりました。

それは、「セーフティネットの充実」といった専門知識をつかっているからです。


このルールに沿って文を書くことは、

修士論文で必要な「論理性」を意識することにつながります。

そこで次回は、文の書き方と「論理性」についてお伝えしていきます。               


 

大学院生活 ガイド

おもに社会人院生の方向けに 大学院合格後の アカデミックライフ・スキルを お伝えします。

0コメント

  • 1000 / 1000